航空運輸業界の仕組み

羽田空港の拡張による増便でJALとANAの寡占状態に終止符

空港の時刻表

日本の航空輸送業界は戦後、堅調な成長を続けてきましたが、2000年代に入ると同時多発テロ、国際金融危機、SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大、原油価格の上昇などが相次ぎ、旅客輸送量に大きな影響を与えてきました。

国内の航空会社ではJAL(日本航空)が、戦後最大規模の負債を抱えて経営破綻し、2010年に会社更生法を申請しました。その後、国内外の不採算路線の削減やジャンボジェットの売却、大規模な人員削減等によるグループ全体のリストラを敢行し、2012年には過去最大の黒字を達成し、2012年に再上場を果たしました。

航空運輸業界はJALとANAの2社グループによる寡占が長年にわたり続いてましたが、羽田空港に新滑走路が誕生して、国際的便の24時間就航が開始されたこと(2010年)、さらに成田空港の年間発着枠が従来の20万回から22万回に拡大したことのより、海外格安航空会社(LCC)の参入が実現するなど、業界が活発化してきました。

日本に先駆けて航空自由化を実現し、LCCが台頭していた欧米では、既に航空輸送全体の30%以上をLCCが占めるようになっていました。LCCの最大の特徴である低価格は、機内飲食の別途販売、手荷物の有料化、降雨券の販売からチェックインまでのシステムの簡素化などにより、人件費等のコストを大幅にカットして実現しています。

従来、出張や旅行には一般鉄道、新幹線、高速バスを利用していたユーザーを市場に取り込むことに成功し、JALやANAなど長年にわたって国内輸送や短距離国際輸送を寡占してた既存航空会社の経営を根本から揺さぶる存在になりました。

ジェットスタージャパンは成田空港を中心に国内13路線を展開し、同じく成田空港を拠点にしたエア・アジアジャパンは国内5路線、海外3路線を展開しています。ピーチ・アビエーションは関西国際空港を拠点として国内5路線、海外で3路線を展開しています。

現在、LCCは慢性的なパイロット不足から一部の会社で欠航便が相次ぐなど、その基盤の脆弱性が指摘されていますが、パイロット不足さえ解決できれば国内路線でも収益は十分確保できるとの見通しから、JAL、ANAグループの子会社をはじめ今後もLCCへの参入は続くものと思われます。

航空輸送は「人」だけでなく、「貨物」の輸送、なかでも国際貨物輸送が近年、ますますその存在感を高めるようになってきました。航空貨物輸送は、陸上・海上における輸送と比較して、貨物の損傷や紛失、盗難リスクが非常に低いため、最近では精密部品のほか、鮮度が商品価値を左右する生鮮食品でも航空輸送が活用されるようになりました。

また、航空輸送によるエクスプレスサービスも活発になっており、高い経済成長率を背景に市場の成長が目覚しいアジアでは、ヤマトホールディングスなどの日本企業市場を開拓し、UPS(アメリカ)やFedEX(アメリカ)、DHL(ドイツ)などと激しい競争を繰り広げています。